遺言でできること・・・内容編

遺言は,満15歳に達していて遺言の内容・結果を判断できる意思能力があれば誰でもできます。
遺言することができるものとして,民法では次の12項目に限定されております。 遺言には書いたことは何でも実現できるかというと,そんなことはありません。

1.身分に関すること

  • 認知・・・婚姻届出をしていない男女の間に生まれた子供
  • 後見人・後見監督人の指定・・・未成年者の親権のある子供がいるとき

2.相続に関すること

  • 相続分の指定およびその委託・・・遺留分を侵害しない範囲で
  • 遺産分割の方法の指定およびその委託・・・誰に何を相続させるか
  • 遺産分割の禁止・・・最大5年間
  • 遺留分減殺請求方法の指定・・・順番と割合を指定
  • 推定相続人の廃除およびその取り消し
  • 特別受益分の修正の免除・・・生前贈与などを特別受益でないとする
  • 相続人相互の担保責任の指定・・・過不足や瑕疵があるとき

3.財産処分に関すること

  • 財産の処分・・・遺贈,寄付行為,信託の設定

4.遺言の執行に関すること,その他

  • 遺言執行者の指定およびその委託
  • 祭祀継承者の指定

では,具体的にどのように財産を分割したらいいのでしょうか?

まず,具体的に分ける内容を決めて,具体的に遺言書に書くということです。
できる限り全ての財産について,誰に,何を,どれだけ相続させるのか明記する方が後で揉めません。
分割しにくいものを割合で指定すると,遺言があっても遺産分割協議を開かないといけなくなります。

  1. 相続人が特定できるように,続柄,氏名,生年月日まで記載すると良いでしょう。
  2. 不動産についても,登記簿謄本に記載されているとおり,すべて記載しましょう。
     土地については,所在・地番・地目・地積です。
     建物については,所在・家屋番号・種類・構造・床面積です。
  3. 預貯金については,銀行名・支店名・口座番号・名義・金額等です。
  4. 株式についても,証券会社・株式の会社名・株数等です。

では,どのように財産を分けても後で問題にならないでのでしょうか?

被相続人は遺言により,相続財産を自由に処分することができます。
しかし,実は,最低限の取り分は,相続人に与えられており,これを遺留分と言います。
遺留分を主張し得るのは兄弟姉妹以外の法定相続人で相続権を有するものです。
つまり,兄弟姉妹には,遺留分がありません。

遺留分を侵害する遺言も,当然に無効となるわけではありません。
遺留分を取り返す権利を持つ相続人が請求しなければ,有効な遺言です。
しかし,遺産争いを未然に防ぐ意味でも,相続人の遺留分を考慮したうえで遺言書を作成しましょう。

遺留分や遺言書で実現できることは限定されてますので,一度専門家に相談して下さい。
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